「納棺夫日記」 青木新門著
2009-03-09 11:24:28 (1 year ago)
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胸にズシッときた作品でした。ぜひ読まれることをお勧めしたい一冊ですのでご紹介します。
「納棺夫日記」。アカデミー賞外国語映画賞に輝いた「おくりびと」の原案(著者の意向で「原作」ではない)となった書です。
宗教のあり方、死生観、「納棺」をはじめとする職業にかかわる問題、哲学、文学、終末期医療、そしてビジネスの要素とありとあらゆる内容が盛り込まれています。作者は現在は富山市の冠婚葬祭会社役員ですが、詩人でもあり、文章も流麗です。
私自身も前職の関係から現場で、一般の方よりは多くの遺体を目にする機会がありました。それだけにうなずける部分も多く、特に轢死体、腐乱死体、焼死体などを目にすると人の命と肉体というものを深く考える場面もありました。踏切事故の現場の様子が作中に出てきますが、実際に臨場した時の衝撃が思い出されました。
作中には、イザナギノミコトから、親鸞、宮沢賢治、三島由紀夫、ゴーギャンなど生命について触れた神や人物、作家、作品が登場して奥深いものとなっています。
ゴーギャンの「我々はどこから来たか? 我々とは何か? 我々はどこへ行くのか?」も好きな作品で(タヒチにも行ってきました)、こうした自分が心に残る作品や文章とともに、富山平野の風景や富山弁が随所に描かれ、親しみをもって一気に読み通しました。
ビジネスについていうと、「納棺夫」としての覚悟をきめてから、外科手術用の白衣や手袋をそろえるあたりは、プロフェッショナルの生きざまとして参考になるものでした。
ちなみにこの作品を読もうと思ったきっかけは、先日お話しする機会のあった先輩経営者に勧められたから。国内トップレベルの企業の経営者がこのような(経営にかかわるわけでもなく、とっつきやすいわけでもない)作品を読んでいたことにも感服した次第です。